概要

取引基本契約書とは

取引基本契約書とは
「わかりやすい・説明親切な対応・迅速なレスポンス」を徹底している弁護士として、フジサンケイビジネスアイに掲載されました。

取引基本契約書とは?作成が必要な理由と盛り込むべき条項

・継続的な取引の場合
前述のように繰り返し発生する契約作業を簡易にすることで、 取引コストを削減することが可能 です。これは、取引基本契約書を締結することで、毎回の取引に共通する項目を都度確認する必要がなくなるためです。
その他にも、メリットがあります。それが取引関係の予測可能性です。例えば取引基本契約書に「あらかじめ●カ月先の発注予想を提出する」などと定めておくことで、唐突に大きな発注を受けるといった事態が避けられます。つまり生産に必要な資材や部材、そして在庫の確保が発注予測に基づいて行えるのです。かつ、取引の継続性が予想できるということは、急に取引が無くなるリスクも避けられます。
また、債権保全にも取引基本契約書が役立ちます。相手方の財政状況が悪化し、支払いが滞った場合、連帯保証人や期限の利益喪失などを事前に定めておけるからです。

・複合的な契約を取りまとめるため
取引基本契約書に毎回の取引に共通する項目を含められると解説しましたが、どのような項目が該当するのでしょうか。例えば「支払条件」や「支払期限」、「受入検査の方法」や「秘密保持」「賃貸借・使用貸借」などが内包可能で、広く複合的な契約を包括できます。

このように、取引基本契約書は必ずしも締結しなければならない契約書ではなく、他の契約書と同じように毎回契約書を交わして取引を行うことが可能です。しかし 「取引コストの削減による迅速な受発注処理」や「取引関係の予測可能性」、「複合的な契約を内包できる」などといったメリットが多く存在 取引基本契約書とは するのです。

取引基本契約書の記載項目

・基本合意
取引基本契約書における基本的な取引内容を定めます。例えば商品の売買であれば「甲が取り扱う商品を継続的に売り渡し、乙がこれを買い受ける。」などのように売買契約であることを明確にします。

・適用範囲
取引基本契約書の内容がどこまでの取引に適用されるかを定めます。基本合意の内容について適用されると書きますが、もうひとつ重要な内容が「優先事項」です。イレギュラーな発注などがあった場合に交わす個別契約書と取引基本契約書の内容が異なる場合にどちらが優先されるか、「個別契約書が優先して適用される」といった内容を具体的に定めておきましょう。

・個別契約の成立
実際に発注を行う場合の発注方法を定めます。発注年月日、名称や品番、数量や納期、納品場所といった項目はもちろん、発注書(注文書)の提出方法も定めます。以前は紙の文書やFaxなどがオーソドックスでしたが、現在ではメールでの発注を受け付ける企業も多く存在するため、より簡易に行えるメールでの発注を定めておくことも可能です。また、受注者が発注内容を承諾しない場合、いつまでに通知しなければならない、といった内容も必要です。

・商品の受け渡し
発注書の内容に従い、納期までに納品場所に引き渡す旨を記載します。引き渡しにかかる送料についても、どちらが負担するか定めます。

・発注予想の提出
発注予想が欲しい場合「あらかじめ●カ月先の発注予想を毎月△△日までに提出する」などと記載します。予想と実際が大きく違う場合でも損害賠償請求ができないといった内容や、もし損害賠償請求できるのであれば、予測できないような事由があった場合についての対応も明記しておく必要があります。

・検査・検収
商品の受け渡し後、いつまでに検査を行って相手方に結果を通知するかを定めます。通知がなければ検査に合格したとみなすといった文言も重要です。

・不合格の場合の処理
検査、検収の結果、不合格であったものについて定めます。品質として不合格の場合や数量不足の場合に追加納入する期限や、数量超過の場合に引き取る期限、また検査不合格に対する異議などを通知する方法を明記します。

・特別採用
検査の結果、不合格となった場合でも、当事者同士が協議によって(場合によっては値引きなども含めて)価格を別途決定し、引き取れるといった内容を記載します。

・所有権の移転
納品された商品の所有権が、いつ相手に移転するかを定めます。例えば「所有権は検査合格時に移転する」などのように記載します。特別採用によって引き取られた商品についても「合意成立時に移転する」などと記載しましょう。

・危険負担
引き渡し前に発生した商品の破損や紛失、劣化などの損害を受注者が負担することを明記します。発注者側の理由による場合については、発注者が負担する旨も記載が必要です。また、引き渡し後についての損害は、発注者が負担することを定めます。

・商品の単価
商品単価の決め方を定めます。一般的には、受注者による見積書によって金額が提示され、両者協議の上、決定する旨を記載します。

・代金の支払いおよび相殺
商品代金の支払方法を定めます。例えば「毎月月末締め、翌月●日に、指定する金融機関の指定口座に振り込む」などと記載します。振込手数料をどちらが負担するかを明記するとトラブルを未然に防げます。また、発注者が受注者に金銭債権を持っている場合、支払金額によっていつでも相殺できる旨も記載することもできますが、相殺をしたくない場合は相殺禁止の項目を入れましょう。

・期限の利益の損失
支払い停止や支払い不能な状態に陥った場合や、差押え、仮差押え、破産、会社整理の申し立てを行ったなどという場合に、取引基本契約書や個別契約書(発注書)の利益期限を喪失することを明記します。本来、ビジネスにおいて「期限」は相手に待ってもらえるという利益ですが、待つことが取引のリスクにつながるような事態には期限の利益を喪失させ、相手方に対して直ちに債務を履行するように要求ができるようにする取り決めです。

・通知義務
法人の名称や称号の変更、指定口座の変更、代表者の変更などがあった場合に、直ちに通知する旨を記載します。

・瑕疵担保責任
納品された商品に瑕疵があった場合の通知方法と、対応方法を明記します。例えば補修や追加納品、代金の減額や損害賠償についてです。ただし、特別採用によって納品された商品については対象にしないことも明記が必要です。また、瑕疵担保責任の期限が納品後いつまでなのかも定めておきましょう。

・秘密保持義務
取引基本契約書や個別契約(発注書)によって知り得た相手方の営業上の秘密を、第三者に漏洩してはならない旨を記載します。

・解約の申し入れ・解除 取引基本契約書とは
契約解除を●カ月前に予告するといった内容を記載します。また「期限の利益の喪失」に記載した内容に該当した場合に解除できる旨も記載します。契約解除による損害の賠償に関しても明記しておきましょう。

基本契約書とは?書き方や個別契約書との比較を解説

基本契約書とは?

基本契約書に基づいて繰り返される個別の受発注において、発注書や注文書などが交わされることがあります 。本来、契約書は双方の意思の合致を証明する形で作成されますが、一方が作成する発注書なども実質的に契約書とみなされることがあります。
特にここで想定している事業者間の取引においては、基本契約書が交わされ「平常取引のある者から」申し込みを受けたといえる場合、遅滞なく拒絶の回答をしなければ申し込みを承諾したものとみなされます。よって、発注書なども基本契約書に対する「個別契約書」として機能するのです。

例として、ある企業がWebコンテンツの作成をフリーランスに依頼する場合を考えてみましょう。
受発注の繰り返しを前提として業務委託契約書が作成されている場合、これは基本契約書に相当します。「○○に関する業務を委託する」などと記載され、他に契約の期間や報酬に関することなどを記載します。
しかし、この契約書内に個々のWebコンテンツの内容や納期、単価を記載するのは難しいでしょう。その場合は、各回個別の事項に関して発注書を作成するほうが簡便です。
個別契約書の書き方は発行元によって変わりますが、一般的には具体的な仕事内容や契約金額、納期などを記載します。表題に「発注書」や「注文書」などと記載されていると契約書には見えませんが、これまでの継続的取引や商慣習に基づき、基本契約書との関係では「個別契約書」にあたります。

基本契約と個別契約はどちらが優先される?

基本契約書と個別契約書において、一部の条項が異なることがあります
例えば、基本契約書に「単価10,000円」と記載されているにもかかわらず、個別契約書に「単価15,000円」と記載されていると、どちらが適用されるのかがわかりません。

なぜ基本契約書を作成する必要があるの?

「なぜ、わざわざ契約書を2つも作成するのか」「混乱を招くだけではないのか」と思う方もいるかもしれませんが、基本契約書を作成しておくことには以下のメリットがあります

取引内容の明確化するため

共通事項を基本契約書で取りまとめ、個別の発注内容等を個別契約書として伝えることで、取引内容が明確になります

優先条項がなく矛盾する条項が多いと、取引内容が明確にならないだけでなく、かえって不明瞭になるリスクがあります。
事前にこの問題を認識し、適切に両契約書を作成できれば、お互いに明文化された共通認識を持つことができます。事細かく基本契約書にまとめても明文化は図られますが、基本的事項まですべて個別契約書に書き込むと長くなり過ぎ、明確さを欠いてしまいます。
個別の依頼において必要な事項のみを個別契約書に記載すれば、依頼された仕事を遂行する側も、何をどのように行うべきかが容易に把握でき、確認作業などの無駄なコミュニケーションも減ります。

取引を円滑に遂行するため

両契約書が適切に作成されていると、取引が円滑になります

基本契約書の書き方

インターネット上で探せば、契約の類型別に基本契約書の雛形を見つけることができますが、そのまま流用するのは危険です 。とはいえ、完全にオリジナルの条項を一から考えるは非効率ですし、盛り込むべき基本的条項が抜けてしまうおそれもあります。
あくまで雛形契約書は参考であり、個々の契約内容に合わせて作成するようにしてください。

基本契約書に必要な項目

  • 契約の目的
  • 契約期間
  • 報酬の定め方
  • 報酬の支払方法
  • 報酬の支払時期
  • 契約解除事由
  • 損害賠償に関する取扱い
  • 専属的合意管轄裁判所
  • 優先条項

民法改正による基本契約書への影響は?

近年は民法が大きく改正されており、基本契約書の作成にも影響を与えています。
そのうち、 特に重要な「危険負担」と「瑕疵担保責任(契約不適合責任)」について解説します

危険負担について

危険負担とは「売買等の契約が締結されてからその目的物の引渡しまでに、当事者の責めに帰することができない事由により目的物が滅失・損傷した場合、どちらがそのリスクを負うのか」という問題のこと です。

改正後の民法では、危険負担について特定物かどうかを区別しません。特定物かどうかは問わず「債務者主義」に従うのです。
上記の特定物の売買の例に当てはめると、天災等により滅失した場合、債権者は代金の支払債務の履行を拒むことができるようになったのです。

民法が改正されたとはいえ、当該ルールは任意規定です。基本契約書に危険負担に関する条項を設けて、これと異なる定めを置くこともできます。
「これまでは民法のルールに依拠して別途条項を設けなかった」という場合はもちろん、トラブル防止の観点からも危険負担については契約書に定めておくことをおすすめします。
買主側・発注側は、債務者主義を採用する形で危険負担の条項を設けたほうが有利ですが、一方的な内容に同意が得られないことも考えられるため、民法の原則に沿って「引渡しにより危険が移転する」旨を明記するといった運用が考えられます。これにより、納品前の滅失等については支払義務が生じず、納品後は支払義務が生じることが明確になります。
売主側・受注側は、債務者主義となるような条項が記載されていないかチェックしましょう。より有利にしたい場合は、引渡しによる危険の移転ではなく「検査合格後に危険が移転する」と定めるとよいでしょう。

瑕疵担保責任について

瑕疵担保責任とは、特定物売買などの目的物に欠陥があった場合における責任のこと で、改正前の民法において規定が置かれていた概念です。

民法改正後は「瑕疵」ではなく、「契約不適合」という表現に代わっています。
これは、特定物に隠れた瑕疵があった場合の責任について、瑕疵担保責任として別途規定を設けるのではなく、特定物も不特定物も含めて債務不履行一般と同様に扱えるようにしたことに由来します。
そのため、今後作成する契約書でも「瑕疵」ではなく「契約の内容に適合しない」といった表現を使用したほうが、法律に沿った内容になります。

改正前は、隠れた瑕疵がある物を売った場合、買主は売主に損害賠償請求ができることになり、契約の目的を達することができないなら契約解除ができる旨が規定されていました。
改正後は、代替品提供による追完や代金減額の請求のほか、債務不履行一般で債権者に認められる損害賠償請求・契約解除などが可能になります。
契約不適合の責任が問題になることが多いのは売買契約ですが、他の有償契約に関してもその性質に反しなければ、このルールが準用される可能性があります(請負契約など)。

一般的に基本契約書には印紙代が必要

契約書など、経済取引で発生する特定の文書には「印紙税」が課税されます
印紙税が課税されるかどうかは印紙税法で規定されており、これを「課税文書」と呼びます。課税文書かどうかは、文書に記載されている内容に基づいて実質的な判断が行われるため、表題に「契約書」と記していなかったとしても、関係ありません。

電子契約では基本契約書の印紙が不要になる

印紙が必要になるのは、書面で契約書を交わした場合です。
電磁的記録により契約を締結する「電子契約」では書面の交付がないため、印紙税はかかりません

売買基本契約書の作成やリーガルチェックのポイントを解説

売買基本契約書の瑕疵担保責任条項のりガールチェック

西川 暢春

代表弁護士
西川 暢春 (にしかわ のぶはる)
大阪弁護士会/東京大学法学部卒

小田 学洋

弁護士
小田 学洋 (おだ たかひろ)
大阪弁護士会/広島大学工学部工学研究科

池内 康裕

弁護士
池内 康裕 (いけうち やすひろ)
大阪弁護士会/大阪府立大学総合科学部

片山 琢也

弁護士
片山 琢也 (かたやま たくや)
大阪弁護士会/京都大学法学部

堀野 健一

弁護士
堀野 健一 (ほりの けんいち)
大阪弁護士会/大阪大学

渕山 剛行

弁護士
渕山 剛行 (ふちやま よしゆき)
大阪弁護士会/大阪大学法学部法学科

渕山 剛行

弁護士
木曽 綾汰 (きそ りょうた)
大阪弁護士会/大阪大学法学部法学科

渕山 剛行

弁護士
小林 允紀 (こばやし みつき)
大阪弁護士会/京都大学

メディア掲載情報

メディア掲載情報/フジサンケイビジネスアイ

「わかりやすい・説明親切な対応・迅速なレスポンス」を徹底している弁護士として、フジサンケイビジネスアイに掲載されました。

書籍出版情報

「問題社員トラブル円満解決の実践的手法」〜訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方

著者:弁護士 西川 暢春
発売日:2021年10月19日
出版社:株式会社日本法令
ページ数:416ページ
価格:3,080円

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